屋根工事・雨漏り修理の業者選びに悩む様子
屋根工事・雨漏り修理の業者選びに悩む様子

屋根の工事は、一生のうちに何度も経験するものではありません。
そのため「どこに頼めばいいのか」が分からないまま、たまたま来た会社に任せてしまう方が多くいます。
屋根は自分の目で見られない場所です。
工事が終わったあとも、本当に正しく直っているのかを確かめにくいという特徴があります。
だからこそ、工事そのものよりも「誰に頼むか」で結果が大きく変わります。

この記事では、屋根工事と雨漏り修理の依頼先を、次の順番で整理します。
どこに頼むのが基本形なのか。
なぜ間に会社が入ると費用が上がるのか。
自社施工かどうかをどう見分けるのか。
本社の場所はどこまで見るべきなのか。
悪質な営業の手口と、見積書で潰しておくべき項目。
読み終えたときに、自分で候補を絞り込める状態になることを目指します。


屋根工事の業者はどこに頼むのが正解か

屋根工事は、屋根を専門にしていて、自社の職人が施工する会社に直接頼むのが基本です。
理由は単純で、契約した相手と、実際に屋根に登る人が同じになるからです。

屋根の工事を請けられる会社には、いくつかの種類があります。
どれも法律上は問題なく工事を請けられますが、費用の構造と責任の所在が違います。
まず、この違いを押さえてください。

頼み先 実際に施工するのは誰か 費用の構造 向いている場面
屋根専門・自社施工の会社 その会社の職人 材料費と自社の工事費が中心 屋根の修理・葺き替え・雨漏りなど屋根単体の工事
リフォーム会社・工務店 下請けの屋根業者 上記に加えて、元請けの経費が乗る 外壁や内装も同時に直す、まとめて任せたい場合
ハウスメーカー 系列会社や下請けの屋根業者 上記と同じ構造 新築時の保証を切りたくない場合
「雨漏り専門」をうたう会社 会社により自社施工と外注に分かれる 会社により異なる 原因が分からない雨漏りの調査
訪問営業をしてきた会社 多くは下請けの職人 営業の人件費が乗る 基本的に、この記事では推奨しません

「直接頼む」とはどういう意味か

ここで言う「直接」とは、窓口と職人が同じ会社にいる状態のことです。
見積もりを出した人と、屋根に登る人が、同じ会社の名刺を持っている。
この形であれば、要望が伝言で薄まりません。
不具合が出たときの連絡先も一つで済みます。

反対に、間に会社が入ると、話は一段階を経由します。
「聞いてみます」「確認して折り返します」が増えるのは、そのためです。

屋根を専門にしている会社が有利な理由

屋根は、建物のなかでも特殊な部位です。
扱う材料が屋根材ごとに違い、必要な道具も工法も変わります。

具体的には、次のような差が出ます。

雨漏りは、水が入った場所と、天井に染みが出る場所が一致しません。
屋根を日常的に見ている会社ほど、原因の当たりをつけるのが速くなります。

専門会社に頼まないほうがよい場面もある

公平に書いておきます。
次のような場合は、リフォーム会社や工務店にまとめて頼むほうが合理的です。

判断の軸は「屋根だけで完結する工事かどうか」です。
屋根だけなら、間に会社を挟む理由がありません。

工事の内容によって頼み先は変わるのか

屋根まわりの工事は、内容によって必要な技術が違います。
とくに板金の工事は、瓦の工事とは職種が分かれます。

工事の内容 主に必要になる技術 頼み先の考え方
瓦のずれ・割れの補修 瓦の施工技術 瓦を扱う屋根工事会社
棟板金の交換・固定のやり直し 板金の加工と取り付け 板金工事を自社で行う会社
雨樋の交換 板金・付帯工事 屋根工事会社で対応できることが多い
カバー工法(既存屋根の上に重ねる) 金属屋根材の施工 金属屋根の施工実績がある会社
葺き替え(屋根材を全部取り替える) 撤去・下地補修・新規施工 自社施工で工程を一貫して行える会社
雨漏りの原因調査 散水試験などの調査技術 調査の手順を説明できる会社

会社を探すときは、「屋根工事」という言葉だけで判断しないでください。
自分の家の屋根材と、想定している工事の実績があるかを、施工事例で確認します。
瓦の事例ばかりで金属屋根の事例がない会社に、カバー工法を頼む必要はありません。


なぜリフォーム会社に頼むと高くなるのか

リフォーム会社を経由すると中間経費が乗る仕組みを示した図
リフォーム会社を経由すると中間経費が乗る仕組みを示した図

契約した会社が自分で施工せず、下請けの屋根業者に発注するためです。
発注した側の経費と利益が、そのまま見積もりに含まれます。

下請け構造はこうなっている

建設業では、元請けと下請けに分かれた発注が一般的です。
屋根工事でも同じことが起きます。

  1. 依頼者が、リフォーム会社と契約する
  2. リフォーム会社が、屋根工事の会社に発注する
  3. 場合によっては、その会社がさらに別の職人へ発注する

工程が一つ増えるたびに、その会社が受け取る取り分が発生します。
現場を管理する人件費、見積もりを作る事務の費用、営業の費用。
これらは、実際に屋根に使われる材料や手間には変わりません。

中間に入る経費がどのくらいかは、会社によって大きく違います。
そのため、この記事では相場の割合を示しません。
確かめようのない数字を信じるより、仕組みとして「乗る」ことを知っておくほうが確実です。

誰が来るか分からないという問題

費用よりも重いのが、こちらです。
契約の時点では、実際に施工する会社が決まっていないことがあります。

つまり、パンフレットや営業担当の印象で選んでも、来る職人はそれとは関係がありません。
「この会社に頼んだ」という感覚と、実際の施工品質が切り離されてしまいます。

不具合が出たときに遠くなる

工事後に雨漏りが再発したとします。
このとき、依頼者が連絡できるのは契約した元請けだけです。

項目 直接頼んだ場合 間に会社が入る場合
施工する人 契約した会社の職人 契約時点では未定のことがある
費用に含まれるもの 材料費・工事費・自社の経費 上記に加えて元請けの経費
不具合の連絡先 その会社に直接 元請けを経由して下請けへ
対応までの時間 会社の都合だけで決まる 二社の予定が合うまで待つ
工事中の相談 現場の職人に直接言える 現場監督を通すことが多い

元請けが悪い、という話ではありません。
複数の工事をまとめて管理してくれる価値は、確かにあります。
ただし屋根だけを直すのであれば、その管理は重複しています。


「自社施工」かどうかを見分ける方法

公式サイトで自社施工かどうかを見分ける3つの確認箇所
公式サイトで自社施工かどうかを見分ける3つの確認箇所

公式サイトで「職人が自社にいる証拠」を探すのが最短です。
言葉ではなく、人・車・工程写真という事実を見ます。

サイトで確認する7つのポイント

見る場所 自社施工の会社に見られること 注意したい表記
会社概要 従業員数と、そのうち職人が何名かの記載 人数の記載がまったくない
許可・資格 建設業許可(屋根工事業・板金工事業など)の番号 業種が屋根と無関係
車両・道具 社名の入った作業車、自社の作業着の写真 写真が全部フリー素材
施工事例 着工前・工程途中・完成の写真がそろっている 完成写真が1枚だけ
採用ページ 職人・見習いの募集がある 営業職だけを募集している
メーカー認定 屋根材メーカーの施工店登録や工事店認定 記載なし
用語 「自社の職人が施工します」と明記 「加盟店」「提携店」「協力会社」が主語

「加盟店」「提携店」という言葉が出てきたら、一度立ち止まってください。
それは、自社で施工しない仕組みである可能性を示しています。
悪いことではありませんが、直接契約ではないという意味になります。

施工事例の「途中の写真」が最大の手がかり

もっとも分かりやすい判断材料が、施工事例の写真です。
見るべきは完成写真ではなく、工程の途中の写真です。

具体的には、次のような写真があるかを確認します。

これらは、現場にいる人しか撮れません。
自社の職人が施工していれば、自然に手元に残ります。
逆に、下請けに任せている会社は、完成写真しか受け取れないことが多くなります。

電話で一言たずねる

サイトで判断がつかないときは、問い合わせの電話で確認できます。
聞き方はこれだけです。

「当日、屋根に上がるのは御社の社員さんですか。それとも協力会社さんですか」

自社施工の会社なら、即答できる質問です。
言いにくい質問ではありません。
むしろ、この質問に丁寧に答えられるかどうかも判断材料になります。

建設業許可がないだけで判断しない

建設業許可は、あれば信頼材料になりますが、ないから悪いという話ではありません。
建設業法では、請負金額が500万円未満の工事(軽微な建設工事)であれば、許可がなくても請け負えます。
部分補修や板金の交換は、この範囲に収まることが少なくありません。

一方で、葺き替えのように金額が大きくなる工事では、許可が必要になります。
許可を受けるには、経営の経験年数や、資格を持つ技術者の在籍といった要件を満たす必要があります。
つまり許可番号がある会社は、その要件を満たしていることが公的に確認されている会社です。

会社概要に許可番号が書かれていたら、業種も一緒に見てください。
屋根工事業、板金工事業、あるいは建築一式工事のいずれかが入っているかどうかが目安になります。
まったく関係のない業種の許可しかない場合は、屋根が本業ではない可能性があります。

100パーセント自社である必要はない

誤解のないように書きます。
すべての工程を自社で行う会社は、実際には多くありません。

問題なのは「全部を外に出していて、自社では誰も施工しない」状態です。
屋根に登る中心の職人が社内にいるかどうか。
ここを見てください。


なぜ地元の会社を選ぶべきなのか

自宅から近い会社と遠い会社の距離の違いを示した地図
自宅から近い会社と遠い会社の距離の違いを示した地図

移動距離が短い会社ほど、費用・緊急対応・保証の全部で有利になるからです。
屋根工事は、契約して終わりではなく、そのあと何年も付き合う工事です。

距離が効いてくる4つの場面

場面 近い会社 遠い会社
見積もりの調査 すぐ見に来られる。再訪も負担が小さい 訪問がまとめられ、調査が1回で終わりがち
工事中 毎日通える。天候による中断と再開が柔軟 移動時間が工程に響く。日程が固まりやすい
雨漏りの緊急対応 当日か翌日に応急処置に来られる 到着までに日数がかかることがある
工事後の保証対応 「ちょっと見てきます」が成立する 点検一回ごとに移動コストがかかる

移動そのものが費用になる

遠方の会社に頼むと、職人と道具を運ぶ費用が発生します。
これは見積書のなかで、諸経費や出張費として計上されます。
金額として明示されない場合でも、工事費に含まれていると考えてください。

工事期間が長くなるほど、この差は積み上がります。
屋根の葺き替えは、数日から2週間ほどかかることがあります。
その間、毎日往復する距離がそのまま原価になります。

保証は「来てもらえる距離」でしか機能しない

保証年数の長さだけを見て選ぶと、あとで困ります。
保証とは、不具合が出たときに来てもらう約束のことです。

10年保証がついていても、片道の移動が長ければ、訪問は重い判断になります。
連絡してから来てもらうまでの日数が延びます。
結果として、保証の中身は同じでも、使い勝手がまったく変わります。

地域の気候と建物を知っているかどうか

屋根に求められる性能は、その土地の気候で変わります。

その地域で長く工事をしてきた会社は、こうした条件を体で知っています。
どの屋根材がよく傷むか、どの部位から雨漏りが始まりやすいか。
同じ地域の建物を何百棟も見てきた経験は、カタログでは代用できません。

近くの施工事例を見に行ける

地元の会社であれば、実際に施工した家が近所にあります。
外から見るだけでも、仕上がりの印象は分かります。
会社によっては、施工先の了解を得たうえで案内してくれることもあります。

さらに、地域で評判が回るという構造があります。
近所で何十年も商売をしている会社は、悪い仕事をすると続けられません。
これは、遠方から一度きり来る会社にはない抑止力です。

口コミと評判をどう読むか

口コミは、件数よりも中身を見てください。
点数の平均だけでは、その会社の性質が分かりません。

読むときに手がかりになるのは、次のような口コミです。

反対に、短い賞賛だけが同じ時期に並んでいる場合は、参考になりません。
また、投稿が1年以上前で止まっている場合も注意が必要です。
今も同じ体制で施工しているとは限らないためです。

口コミが少ない会社が悪い、ということでもありません。
地域の紹介だけで仕事が回っている会社は、そもそも口コミを集めていないことがあります。
その場合は、施工事例の数と、事例が更新されている時期を見てください。


本社の場所はどこまで近ければいいのか

判断の基準は距離そのものではなく、「毎日通えるか」「緊急時に当日来られるか」です。
そして、「対応エリアに入っている」と「本社が近い」はまったく別の話です。

目安は「片道1時間以内に本社があるか」

具体的な目安を一つ挙げるなら、車で片道1時間以内です。
根拠は単純な時間の計算にあります。

片道の移動が1時間を超えると、往復だけで2時間以上が消えます。
職人の1日の作業時間から、それだけが差し引かれます。
そうなると、1日に2回現場へ向かうのが難しくなります。
雨漏りの応急処置のように、「今日中にもう一度」という動きが取りにくくなるということです。

ただし、これは絶対的な線引きではありません。
道路の状況によって、距離と所要時間は一致しません。
確認すべきは、地図上の距離ではなく、実際にかかる移動時間です。

「対応エリア」は自己申告である

ここが、もっとも間違いやすいところです。
サイトに書かれている対応エリアは、その会社が自分で決めた表示にすぎません。

対応エリアの広さは、判断材料になりません。
見るべきは、本社の住所です。

支店・営業所の表記に注意する

「お近くに営業所があります」という表記にも、確認が必要です。
営業所には、実態が2種類あります。

種類 置かれているもの 工事への影響
施工の拠点 職人・資材・作業車が常駐している 本社と同じように動ける
受付だけの拠点 電話と事務スペースのみ 職人は本社か下請けから来る

見分け方は、電話で一言たずねるだけです。
「その営業所には、職人さんは何名いらっしゃいますか」
答えられない、あるいは曖昧な場合は、受付だけの拠点である可能性があります。

会社が続いてきたかどうかも見る

近さと同じくらい大切なのが、その会社が今後も続くかどうかです。
保証は、会社が存在していて初めて意味を持ちます。

判断の材料になるのは、次の3つです。

たとえば許可番号の頭に「般-3」とあれば、その年度に許可または更新を受けたという意味です。
数字が大きいほど、許可を維持してきた年数が長いことになります。
サイトを作ったばかりでも、実際には長く営業している会社があります。
逆に、見栄えの良いサイトでも、会社としての歴史が浅いことがあります。

「近さ」を判定するための材料

まとめると、次の5つを見れば判断できます。

  1. 会社概要に書かれた本社の住所を、地図で確認する
  2. 支店・営業所がある場合は、そこに職人が常駐しているかを聞く
  3. 施工事例の所在地が、自宅の周辺に分布しているか
  4. 雨漏りの緊急対応が可能か、当日中に来られるかを聞く
  5. 工事後の定期点検に来てもらえるか、その頻度はどうか

この5つに具体的に答えられる会社は、実際にその地域で施工しています。


悪徳業者によくある手口

玄関先で不安をあおる訪問営業のイメージ
玄関先で不安をあおる訪問営業のイメージ

共通点は一つだけです。
依頼者に「考える時間」と「比べる材料」を与えないことです。

手口そのものは、いくつかの型に整理できます。
型を知っておけば、その場で気づけます。

手口の一覧と、その場での対応

手口 言われがちなこと なぜ危ないか その場での対応
突然の訪問営業 「近くで工事をしていて、お宅の屋根がずれて見えた」 こちらが調査を依頼していない。比較の相手がいない 「検討していません」と伝えて終える
不安をあおる 「このままだと雨漏りします」「家が傷みます」 事実の確認ができない状態で、判断を急がされる 「別の会社にも見てもらいます」と答える
勝手に屋根へ上がる 「無料で見てあげます」 上がった際に破損させ、それを劣化として示される恐れがある 承諾していない立ち入りは断る
他人の家の写真を見せる 「これがお宅の屋根です」 撮影場所を確認できない 自分も一緒に確認できる形を求める
即決を迫る 「今日契約すれば足場代が無料」 比較する時間を奪うための条件付け その場で契約書に署名しない
見積もりが「一式」だけ 「屋根工事一式 ◯◯円」 何をいくらで行うのか分からず、比較できない 数量と単価の入った内訳を求める
火災保険で無料になると断言する 「保険で必ず下ります」 保険金の可否を判断するのは保険会社です 断言する会社とは契約しない
全額を前払いさせる 「先に全額お願いします」 工事が終わらないまま連絡が取れなくなる恐れがある 支払い条件を分割にできるか確認する

点検商法はこういう流れで進む

もっともよくあるのが、点検を入り口にした営業です。
流れが決まっているので、途中で気づけます。

  1. 突然訪問し、「近くで工事をしている」「無料で点検する」と申し出る
  2. 屋根に上がり、写真を撮ってくる。依頼者はその場に立ち会えない
  3. 破損した屋根の写真を見せ、「このままでは雨漏りする」と伝える
  4. その場で見積書を出し、「今日なら」という条件を付けて契約を迫る
  5. 契約後に着工し、工事の内容を確認できないまま完了する

この流れの問題点は、2番目にあります。
撮影された写真が、本当に自分の家のものかを確認できません。
また、上がったときに屋根材を踏み割り、それを劣化として示されることもあります。

対処は簡単です。
承諾していない立ち入りは断る。
点検が必要だと感じたら、自分で探した会社に依頼して見てもらう。
この2つだけで、点検商法は成立しなくなります。

火災保険の話は特に注意する

火災保険は、台風や強風などの自然災害が原因の破損であれば、対象になる場合があります。
これ自体は、正当な仕組みです。

問題は、次のような説明のされ方です。

保険を使う可能性がある場合でも、まず加入している保険会社へ自分で連絡してください。
工事会社の説明だけで判断しないことが大切です。

契約してしまった場合の対処

訪問販売で契約した場合は、法律で定められた解除の権利があります。
特定商取引法では、契約書面を受け取った日から8日間、書面によって無条件で契約を解除できます。
これがクーリング・オフです。

期間を過ぎてしまった場合や、判断に迷う場合は、消費生活センターに相談できます。
局番なしの「188」に電話すると、最寄りの窓口につながります。

その場で確認できる3つのこと

訪問を受けたときに、その場でできる確認があります。
断るかどうかを決める前に、この3つを試してください。

  1. 名刺を受け取り、会社名で検索する。公式サイトと所在地が出てくるかを見る
  2. 建設業許可の番号があるか聞く。ある場合は、国土交通省の検索システムで確認できる
  3. 事務所の住所を地図で見る。所在地が私書箱や共有オフィスだけの場合は注意する

その場で調べられると分かると、話を切り上げる会社もあります。
そうなった時点で、判断は済んでいます。

なお、これらを聞かれて丁寧に答える会社であれば、問題はありません。
断る理由がないと感じたときでも、その日のうちに契約する必要はありません。
「他社にも見てもらってから決めます」で構いません。

訪問営業がすべて悪質というわけではない

念のために書いておきます。
訪問して営業する会社のすべてが問題なのではありません。

問題なのは、比べる材料がないまま契約させる進め方です。
訪問を受けた場合でも、その場で決めず、自分で探した会社と相見積もりを取れば危険は大きく下がります。
判断を急がせてくる会社だけを避けてください。


見積もりで必ず確認すべきこと

「一式」表記の見積書と、内訳が書かれた見積書の違い
「一式」表記の見積書と、内訳が書かれた見積書の違い

「一式」という表記が並ぶ見積書は、他社と比較できません。
数量と単価が入っているかどうかが、最初の関門です。

見積書で見るべき項目

項目 あるべき書き方 書かれていない場合に聞くこと
足場 面積(平方メートル)と単価 何平方メートルで、単価はいくらか
飛散防止ネット 足場とは別に、面積で計上 ネットは含まれているか
既存屋根材の撤去 面積と単価 撤去する範囲はどこまでか
廃材の処分費 材料の種類ごとの数量 処分費は別途か、含まれているか
下地(野地板)の補修 想定範囲と単価 開けてみて傷んでいた場合の扱い
防水シート 品名・グレード・面積 どのメーカーの、どの製品か
屋根材 メーカー名・品番・色・数量 何を何枚使うのか
棟板金と貫板 長さ(メートル)と材質 貫板は木製か、樹脂製か
雨樋・軒天など 必要な場合は個別に計上 今回の工事に含まれるか
諸経費・現場管理費 金額と、その内訳の説明 何に対する費用か
保証 年数と対象を書面で 材料・施工・雨漏りのどれが対象か
工期 着工予定日と日数 天候で延びた場合の扱い
支払い条件 着手金の割合と、残金の時期 全額前払いではないか

「開けてみないと分からない」部分を先に決めておく

屋根工事では、既存の屋根材をはがすまで分からない部分があります。
下地の傷み具合がその代表です。

ここを曖昧にしたまま着工すると、あとから追加費用の話になります。
着工前に、次の3点を書面で確認しておいてください。

  1. 追加費用が発生するのは、どういう状態が見つかったときか
  2. その場合の単価は、あらかじめいくらと決まっているか
  3. 追加工事を行う前に、依頼者の承諾を取る手順になっているか

この3点が書面にあれば、想定外の請求はほぼ防げます。

保証には3つの種類がある

「保証10年」と書かれていても、その中身は一種類ではありません。
何に対する保証なのかを分けて確認してください。

保証の種類 誰が保証するか 対象になるもの 会社が無くなった場合
メーカー保証 屋根材のメーカー 材料そのものの不具合 メーカーが存続していれば有効
自社の施工保証 工事をした会社 施工が原因の不具合・雨漏り 対応できなくなる
リフォーム瑕疵保険 保険法人(第三者機関) 施工が原因の不具合 保険法人に直接請求できる

見落とされやすいのが、3行目です。
リフォーム瑕疵保険は、工事会社が加入し、検査を受けたうえで成立します。
加入していれば、万が一その会社が無くなっても、保険法人へ請求できます。

保証について聞くときは、次の3点をまとめて確認してください。

  1. 年数は何年か。そして材料と施工のどちらに対する保証か
  2. 雨漏りが再発した場合は、保証の対象に入るか
  3. 保証書は書面で発行されるか。口頭の約束になっていないか

書面で出せない保証は、あとから確認できません。
契約前に、保証書の見本を見せてもらうのが確実です。

相見積もりは「同じ条件」で取る

複数社から見積もりを取るときは、条件をそろえてください。
条件が違うと、金額を並べても意味がありません。

そろえるべきなのは、次の3点です。

同じ工法で見積もりを依頼すれば、金額の差が何によるものかが見えてきます。
逆に、各社がばらばらの工法を提案してきた場合は、金額ではなく提案内容を比べてください。
なぜその工法なのかを説明できる会社が、信頼できる会社です。

社数の目安は3社です。
1社では比較ができず、5社を超えると対応そのものが負担になります。

他社より大きく安い見積もりが出たときの確認

金額が大きく低い見積もりには、理由があります。
理由には、正当なものと、そうでないものがあります。

正当な理由の例は、こうしたものです。

一方で、次の場合は注意が必要です。

確認の仕方はシンプルです。
高いほうの見積書と項目を並べて、「この項目が入っていないのはなぜか」と聞いてください。
明確に答えられる会社であれば、問題ありません。

見積書を受け取ったあとの進め方

見積書は、受け取って比べて終わりではありません。
契約までに、次の順番で確認しておくと安全です。

  1. 見積書の説明を、対面か電話で受ける。金額の根拠を口頭で説明できるかを見る
  2. 調査の結果をまとめた報告書や写真をもらう。どこが傷んでいるのかを自分の目で確認する
  3. 工程表をもらう。何日目に何をするのかが分かる形になっているか
  4. 契約書の内容と、見積書の内容が一致しているかを突き合わせる
  5. 保証書の見本を見せてもらう。年数と対象が書かれているかを確認する

とくに4番目は見落とされがちです。
見積書では細かく書かれていても、契約書では「屋根工事一式」になっていることがあります。
契約書に見積書を添付してもらい、その見積書が契約の一部であることを確認してください。

調査報告書を出せる会社は、根拠を持って見積もりを作っています。
逆に、屋根を見た結果を説明できないまま金額だけ出してくる場合は、もう一度質問してください。


業者選びでよくある質問

見積もりは何社から取るべきですか

3社程度が目安です。
1社だけでは金額が妥当かどうか判断できません。
一方で社数を増やしすぎると、日程調整と比較の手間が増えます。
大切なのは社数よりも、同じ工法・同じ範囲で依頼して条件をそろえることです。

訪問営業の会社に見てもらっただけで、契約する必要はありますか

契約書に署名していなければ、契約は成立していません。
点検を受けただけであれば、断って問題ありません。
すでに契約してしまった場合でも、訪問販売であれば、契約書面を受け取った日から8日間はクーリング・オフができます。
判断に迷う場合は、消費生活センター(局番なし188)に相談してください。

「自社施工」と書いてあれば、信じてよいですか

表記だけでは判断できません。
確かめる方法は2つあります。
一つは、施工事例に工程途中の写真があるかを見ることです。
もう一つは、電話で「当日屋根に上がるのは御社の社員さんですか」と聞くことです。
どちらも、自社で施工していればすぐに確認できる内容です。

大手の会社と、地元の小さい会社では、どちらが安心ですか

会社の規模は、判断の材料になりません。
見るべきなのは、施工するのが誰かということと、必要なときに来てもらえるかどうかです。
規模が大きくても下請けに任せる会社はあります。
規模が小さくても、自社の職人が施工して、長く保証対応をしている会社もあります。

屋根に上がらずに点検はできますか

近年は、はしごを使わずに確認する方法も増えています。
高所カメラでの撮影や、ドローンによる空撮が代表的です。
屋根材を踏んで傷めるリスクを避けられる利点があります。
ただし、下地の傷みや、板金の固定の緩みは、実際に触れないと分からない部分もあります。
撮影だけで結論を出す会社ではなく、必要に応じて上がって確認する会社を選んでください。


まとめ

業者選びの流れ:調べる・絞る・相見積もり・比較・依頼
業者選びの流れ:調べる・絞る・相見積もり・比較・依頼

屋根工事と雨漏り修理の依頼先は、次の3点で絞り込めます。

  1. 屋根を専門にしていて、自社の職人が施工する会社を選ぶ
  2. 本社が生活圏内にある会社を選ぶ。対応エリアの表示ではなく、本社の住所を見る
  3. 判断を急がせる会社と、内訳のない見積もりを出す会社を外す

進め方としては、この順番が確実です。

  1. 自分から会社を探す。訪問されたから決める、という順番にしない
  2. 公式サイトで、施工事例の工程写真と、会社概要の職人の人数を確認する
  3. 本社の住所を地図で確認し、支店の場合は職人が常駐しているかを聞く
  4. 同じ工法・同じ範囲で、3社に見積もりを依頼する
  5. 「一式」の表記を潰し、数量と単価、保証の年数と対象を書面で受け取る
  6. 追加費用が発生する条件を、着工前に書面で決めておく

屋根は、工事が終わったあとに自分で検品できない場所です。
だからこそ、着工前に確認できることを全部済ませておくことが、いちばんの備えになります。

この記事のチェック項目を持って、お住まいの地域の屋根専門会社を探してみてください。
当サイトでは、屋根工事に対応する会社を、所在地と対応内容から比較できます。